2006年04月30日

vol.20 フュージョン

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☆『いま、ジャズ系のフュージョンなんかはかなり洗練され
  たコード進行もっててね。

  ほんとうに印象派の作曲家みたいなコード使ったりね、
  難しいことやるんだけど、音楽としてそんなに面白くな
  いのね。

  ああいう音楽の洗練のされ方っていうのは音楽の本質的
  な面白さとちょっと離れている傾向がある』


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 「FMファン」1983年3月23日号より

 『坂本龍一・全仕事』(太田出版/1991年)に収録。


 詳細→ http://tinyurl.com/7daqd



●フュージョンという音楽については、僕はジャンルとして
 のファンといえるほど熱心なリスナーではない。


 しかし、フュージョンと呼ばれる音楽の中にとても好きな
 ものが多いのも事実なので、多くの音楽評論家の無理解で
 次元の低いフュージョン批判には本当に腹立たしい思いを
 抱いていた。


 その点、教授のフュージョンを理解したうえでのこの発言
 にはなるほどと納得できた。



 これは僕の場合であるが、制作者の視点からフュージョン
 を聴いていると、あまりの複雑さに

 「もう、これ以上音楽的に発展する余地がないのではないか」

 という一種の「どん詰まり感」というか音楽的な袋小路を
 感じてしまうことがある。



 たとえば、ハーモニー面ひとつとっても、非常に技巧的で
 この先はクラシックに習えばシェーンベルクなどの12音
 技法や無調化の方向しか残されていないという気がするし、

 そこまで行ってしまうと、学術的には有意義だとしても、
 やはり一般の音楽ファンに訴求力のあるものが出てくる可
 能性は低い、と考えるのが妥当ではないかと思う。
 


 実際、快楽主義的な側面も大きいフュージョンでそこまで
 やってしまうと音楽としての魅力が失われてしまうので、

 事実上、進化はストップしたまま、というのが僕の実感だ。



 とはいえ、言うまでもなく「12個の音」という音階上の
 基本的な制約はフュージョンに限ったことではない。



 教授も指摘しているように、大衆音楽の枠組みから外れな
 い範囲での12音階の可能性はボサノバで頂点を極めた、
 と言ってよいのではないだろうか。



 山下邦彦が研究しているレベルまで掘り下げての話や、個
 性的なスタイルを持った作曲家の出現という意味ではまだ
 可能性はあると思うが、

 複雑化、簡略化、西洋的、東洋的、など複数の方向から考
 えてみても、

 一般的な全体論として「新しい音楽ジャンル」と認識され
 るほどの斬新なものが現れるのは、ハーモニー/音階面だ
 けから考えると困難であるように感じる。



 では、「音楽の可能性」とはどこにあるのか、ということ
 を次回も考えてみたいと思う。


                    <文中敬称略>

               - Special thanks:Q san -


 『坂本龍一・全仕事』

 詳細→ http://tinyurl.com/7daqd


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●あとがき

♪こんにちは、吉村でございますー。

 やっと、暖かくなるきざしが見えてきましたね。


 ところで、ライブ活動をされている方や、またこれから初
 めてのライブを前にして最近は夜も眠れない、など緊張感
 のコントロールでお悩みの方はいらっしゃいませんか?


 先日のソロピアノツアーでもそうでしたが、あの教授でさ
 え、曲を忘れてしまうハプニングが起こったりします。



 そんなライブ前に知っておくと気持ちが楽になる話を
 見つけました。


 精神科のお医者さんお二方による対談です。

  http://1muryoureport.com/?1424



 お坊さんの話以降は音楽家にも直接応用できます。


 ぼくも●●使っちゃいましょうかね。


  http://1muryoureport.com/?1424

 
 
 それではまた〜


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posted by ヨシムラ タケヒロ at 11:25 | Comment(3) | 坂本龍一を考える。-メルマガ・バックナンバー
この記事へのコメント
吉村さんどーもです、、いつも感心させられますが、深いです!たしかにジャンル的には出尽くした感があると思います、しかし音の響き的な新しさ、メロディーやハーモニーの新しさ、はまだまだあると信じてるし、信じたい!(それがないと創る意味がないような、、)やはり創る側は勿論聞く側も勉強は必要だと感じます、青く感じられるかも知れませんが(^_^; ありがとうございます。次も楽しみにしてます!
Posted by Q at 2006年05月06日 09:17
♪Qさん
どもですー。ホントにぼくもそう思います。
音楽にはいろんな要素がありますが、ハーモニーや響き、メロディー、
やっぱりこれらが自分がもっとも音楽に惹かれる理由なのでその可能性は信じ続けたいです。
今回のようなことを考え出すと、どツボにハマるというかですね、
けっこう絶望的になったりもしたんですけど、それでもやっぱり
「どうしてこんなハーモニーが思いつくんだ?」とか「ハッ」とさせられる
瞬間の響きがある音楽が、いくつかあってかなり元気が出ました。
『CHASM』もその中のひとつだったんですけど、まだできることはある、と
強く感じました。
ぼくもまだまだ勉強ですねー(^^
Posted by 吉村たけひろ at 2006年05月07日 09:39
吉村さんど〜もです、、ヒューマンオーディオスポンジのバルセロナでのライブ、カールステンと教授のアルバム、、これらの中のループな感じとハウスやテクノのループ感の違い?上手く伝えにくいですが、あきないループ?と単調なループだけの曲、的なまあ全ては受け手次第的な部分ありますが、吉村さんの感じ方、考察、聞いてみたいです。前回に続き勝手言ってもうしわけないです
Posted by Q at 2006年05月29日 22:01
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